令和元年度第1回北九州市立美術館協議会議事録
名称
令和元年度 第1回北九州市立美術館協議会
議事
報告1 平成30年度事業実施結果について
報告2 美術館友の会の活動状況について
議題 北九州市立美術館運営評価について
開催日時
令和元年7月10日(水)14時~16時
開催場所
北九州市立美術館 エデュケーションルームB
出席者
(委員)
- 山梨 俊夫(会長)
- 国立国際美術館館長
- 中村 渉
- 北九州商工会議所参事
- 大島 まな
- 九州女子大学人間科学部学部長
- 古賀 弘子
- 北九州市立筒井小学校校長
- 谷 美紀
- NPO法人子育てシンクタンク代表
- 原田 美紀
- 原田・川原法律事務所弁護士
- 大庭 明美
- 北九州美術家連盟
- 外山 典子
- 北九州市立竹末小学校校長
- 新谷 幸子
- 福岡県立八幡中央高等学校教諭
- 森山 秀子
- 久留米市美術館副館長兼学芸課長
- 河原 久美
- 読売新聞西部本社事業部長
(事務局)
- 西村 勇晴
- 北九州市立美術館館長
- 後藤 基明
- 北九州市立美術館副館長
- 鐘ケ江 祐二
- 北九州市立美術館普及課長
- 日髙 満博
- 北九州市立美術館普及係長
- 那須 孝幸
- 北九州市立美術館学芸係長
- 仲山 恵美
- 北九州市立美術館普及課
- 落合 朋子
- 北九州市立美術館学芸課
議事録
報告1「平成30年度 事業実施結果について」
報告2「美術館友の会の活動状況について」
- 事務局
- 報告1、 報告2についての説明
- 会長
- 今の報告について意見を伺いたい。駆け足の説明だったので、もう少し詳しく聞きたいという事でもかまわない。
- 委員
- 友の会の会員数が83.3と減っているのは何か原因があるのか。
- 事務局
- リニューアルオープンが去年あり、その効果でかなり会員が増えたが、会員期間が1年間で、継続ができてないことがある。
- 委員
- その前に増え、少し減っていると。
- 会長
- 他にないか。
- 委員
- 展覧会の入場者だが、もともとの予定・目標人数を教えていただきたい。
- 事務局
- 予定・目標人数は、11万3千人。招待券等で入場する無料入場者を約3割で設定している。
- 委員
- 歳入のところだが、美術館として自助能力というか、市の負担というところだと思う。歳入については、予算と決算の差が2千2百万円になっているが、中身を見ると、美術館図書販売等収入が、1億3千百万円の予算に対して、2千2百万円の決算と、1億、市の負担が増えたとなっている。予算の見積り、目標が高すぎて、実際の数字と1億位の差があるとなっている。これはどうしてか。
- 事務局
- 各企画展で市費を支出せずに賄えるような計画を立て予算を組む。最終的には3割くらいが決算額となる。昨年も8千万円の差があった。
- 委員
- 図書販売収入とあるが、入場料収入等も含まれているということか。
- 事務局
- 含まれる。
- 会長
- 展覧会開催関係の歳出は、本館・分館・黒崎全部含めた展覧会123回にわたる経費として1億4千4百万円というものを考えていたという事か。
- 事務局
- 違う。コレクション展と企画展のみ。12企画に対して1億4千万円である。
- 会長
- これが決算では1億2千6百万円。かなり支出の上でも努力したという事か。
- 事務局
- 経費削減である。
- 委員
- 入館者数が減るならば、収入予算が減るのはわかるが、数字的には29年度よりも入館者数は増えているという現状で、収入が減るのはどうしてか。
- 事務局
- 全体の入館者数は、この展覧会の企画展収入には関係ない。ちなみに平成29年度の企画展の入館者数は7万9千人。それに対応するのが7万2千人。これが開催経費に対する人数になる。
議題 北九州市立美術館運営評価について
- 会長
- まずは事務局から説明をお願いする。
- 事務局
- 北九州市立美術館運営評価について説明
- 会長
- 積極的に意見をいただきたい。評価項目1について意見はないか。
- 委員
- 修復計画だが、年間約100万円の美術品修復予算で、いかにコンディションを良くするか、修復するところは修復するのか、具体的に数字で。優先順位もあるのだろうが、1作品にものすごくかかると思うが、全所蔵品をどのくらいの年月をかけて修復するのか。100万円でどのくらい修復できるのかよくわからない。
- 事務局
- ご指摘の金額のところだが、非常に厳しい金額で、年々減ってきている状況。
修復の為の運搬費も含めてこの金額なので、修復そのものの金額ではない。この年に修復すべき最優先作品をその都度協議する。5年ほど前に学芸員の目で見た修復リストを作っている。実際に見積りを依頼するにしても、修復家を招いて見積ると、その交通費も発生するので、その予算も厳しいという状態で、専門的なリストは作れない状態。10年、20年の計画を立てたとしても、10年後に海外に貸し出すかもしれない作品や、緊急性の順位が読めないこともあるので、まずは状態上のリストはあるが、実際にその年に何を修復するかはその都度必要に応じて決めている。今回は青柳喜兵衛展が近いので、それをリストの上位にあげていたが、現在開催中の寺田政明の状態が良くないという事で、こちらを優先した。 - 会長
- こちらの美術館の事情以外に、一般的な修復保存について言えば、作品の元々の価値、貨幣的な価値とは全く違って、どんな高額なものでも、どんな廉価な
ものでも修復費は同じである。例えば、国立美術館では年間9千万円の修復費がついている。それでも修復できるのは、せいぜい10点~20点。ただ、問題はお金がつけば良いということではなくて、一度修復の専門家に見てもらうのが良いし、美術館の現場としては、貸し出しも含めて、使用頻度の高いものから修復していく必要がある。一方で、名古屋市美では、普通の美術史には名前が出てこない市井の作家の作品の寄贈を受けている。ところが、ひどく傷んでいるものがたくさんあるが、美術館が受け入れることで、後世に残していく。
一定の調査をすることによって、地域の美術がどのように広がっていったのかということが検証できるという考えで、どんどん集めている。当館の方針もあるだろうから、同じようにしなければいけないという事はないが、それぞれの美術館の考え方に従って、傷んだ作品を集める。収蔵庫はボロボロの作品で埋まる。何が大事かといったら、地域の美術を残していく事が大事なんだと考えている。それぞれの美術館が根拠にしている地域の美術の歴史なり、現状なりを大切にしていくということに基づいて修復が行われている。お金がなくても、まずは収集する。優先順位、使用頻度が高いものから修復していく。ただし、保存の予算の100万円が必ずしも、作品をきれいにすることだけに使うのではなく、例えば、展覧会を行うときに額に入れる等の、展示するための措置にお金がかかるから、そこに修復費をまわす場合もある。ただし、展示するための措置にかかるお金は、ある場合は展覧会経費からそれを作り出すことが可能なので、その辺は学芸員のさまざまな工夫で実態はそこまで書けないだろうが、自分の経験から理解している。 - 事務局
- 非常に予算が厳しいので、展覧会事業費の中で展覧会の開催にあわせて修復したこともあるし、海外に貸し出す時には、修復してくれたら貸しますとか、そういう形で修復したものもある。
- 委員
- 実情がわかった。たまたまイタリアに行ったが、美術館の中で修復工程を見学できた。あれは国からの補助金が出ているのだろう、入場料だけではとてもペイしないだろうと思っていた。お金のかけどころが違うのだろう。
- 会長
- 国の予算9千万円は国立美術館の所蔵作品だけ。国はフランスやイタリアと違って、修復に対して積極的にお金を出すという事をしていないので、むしろ国の場合は、美術館より博物館を中心にした文化財機構というのがあって、そこは江戸時代以前の古い美術を扱っていて、そちらは非常に手厚く修復をしている。国の政策で文化を観光化する。そのためには、外国から来る観光客が何を見たいか、それに応じて古い美術、建造物の文化財、そういうものの修復にかなりお金を使っている。でも、近代以降の美術についてはそういうことはない。
- 会長
- 私からの質問だが、最初の作品の部分のデータベースの話が出てくるが、こちらではデータベースの整備というものを、どういうものとして考えているのか。
つまり、何のデーターベースを作るのか。作品か。 - 事務局
- そうです。当館の所蔵作品のデータベースと、図書資料のデータベースの2種類があるが、大きな目標として協議会に掲げる理由は、最も遅れているからである。新しい美術館が出来たら、開館と同時にデータベース整備から始まっていくが、この美術館は45年を迎えており、図書に関しては図書カードで整理をし、基本的に紙ベースの管理をやってきて、それをデジタル化できていない。
データベースというか、まずはデジタル化という点で全然進んでないというのが一番の理由。図書に関しては、さかのぼって徐々に入力しているが、現在も寄贈など多く入ってきているので、日々増えていく新規の入力に加えて、さかのぼっての入力を同時にやっているのでなかなか難しい。改修工事のための引っ越しもあったので、配架作業、段ボールから本を出して、順番通りに並べたりが十分でなく、デジタル化の前の段階でもある。一方で、作品に関しては、引っ越しに伴う作業で、すべての作品の点検を行うことができ、状態確認もでき、作品点数もきちんとカウントすることができた。それをデータベース上にきちんと反映させていくのはこれからの話であり、カルテというか、作品の状態をそこに書き込んでいるが、一覧で、ここに傷があるとか、ここが剥脱しているとかという点もあるが、紙ベースでやってきたものを、デジタル化していくのがなかなか難しく、作品の状態に関しては、まだ紙ベースのままだが、作品名や作家名等をデジタル化して検索しやすいようにしていく。将来的には一般公開。すべての項目を公開することはないと思うが、公開できる内容については公開していくことを目標にしている。そこを目標にしないと、透明性や市民の利益を考え、そこを理想にしていきたい。しかし、それが全く追いついていないのが現状。 - 会長
- 理想というが、これは高い理想ではない。データベース化というのは非常に国際的な動きになっていて、日本に来た時に大きな問題があって、日本がもって いる作品になると、外国からの調査ができない。日本にデータベースが整備されていないから。これは国際的に研究レベルでは検索をやるので、例えばこちらで持っているマネのドガの作品、ああいうもののデータは、外国が本当に調べようとする。これは、こちらのデータベース整備が遅れているというだけではなく、国際的なレベルでのシステム化に乗れるようなものを使っているかどうか、ということもあわせて問題になって、それで何をすれば良いか。特に1968年展をこちらでやりましたよね。あの図録はロンドンのテートギャラリーのキュレーターが欲しがっている。そういう風に外国の、欧米のあるいはアジアの研究者たちが日本の美術に関心を持ち始めている。その時にドガの作品だけではなく、日本の作家のことも知っておかないと調査できない。やがて、そういう時代が目前に来ているからそれに備える。一方で、図書のデータベースは、この地域の人たち、あるいは日本全国の人たちが、あの美術館は何を持っているか、資料として何を持っているか等検索する時に、美術館の外でもわかる。あるという事がわかれば、こちらに来て調べる。そのための利用頻度を予測する。そういうことをやってくことが目前になっている。ただ問題は、ほとんど日本では美術館の人間も、それを掌握している行政もその必要性を認識していない。だからその必要性を感じない。だけど、全世界的にはその必要がどんどん、実際に手を付けられて始まっているので、そこに対処していくためには、対応策が必要だ。このデータベースに対して、地域の美術というものを、特に戦後だが、それをデータベース化するための措置は、これは文化庁が補助している。前も話したが、国立美術館では、データベース化に年間300万円ずつ3年間にわたって文化庁の補助を受けた。そのような助成のシステムも若干あるので、それを調べながらやった ほうが良い。こちらの蔵書数がどのくらいかわからないが、例えば1万冊あれば、それをデータベース化する作業は大変だ。しかもそれは学芸がやる仕事ではなく、私どもは去年の11月から図書をはじめてデータベース化して公開した。その作業のために、図書資料室に非常勤の職員が5人いて、その人たちがデータベースを全部整理した。データ打ち込みは外注した。そういう風にして年間1千万円かかった。国内的にシステムがあって、これは博物館、美術館、図書館の全部横断検索ができる。そういうシステムを今整えている。それは国立だけではないから、日本全国に広がっていく。そういう時代が来ると思って、対処していかないと取り残されてしまう。そういう視野を持って課題解決に取り組む必要がある。
- 委員
- やっていることは、人とお金さえあればなんとかなる。ここのコレクションも大変充実しているし、収集も続いているし、修復に係る費用はもっとかかると思う。例えば福岡市美術館は修復・保存担当がおり、この美術館にもそういう人が必要なのではないかと感じる。図書に関しても、今は入力は職員がやっているのか。これは厳しいだろう。私たちの小さな美術館でも、図書の整理に関しては外注している。それでも追いつかない。持ってる冊数がちがっているがそれでも追いつかない。予算の要望がたまっていて、発注できない状況が続いている。図書に関してはバーコードを貼っている。
- 会長
- それでは、評価項目の2公開について意見はないか。
- 委員
- 質問だが、ここにある来館者の満足度という項目が書いてあるが、具体的には積極的に取り組むことで、来館者の満足度につなげるということだと思うが具体的に何を指しているのか。
- 委員
- アンケートをどう見るのか。私は企業の研修担当をしており、割とアンケートを作った人に忖度して書かれる場合もあるし、まじめに書いてる分もあり、自由記入欄を良く読み取って、次の企画に活かしたらどうかという意味のことをかいていると考えている。
- 委員
- 私も同じ考えで、評価シートとして、展覧会に関して、企画の内容で評価するという指標が出ているが、確かにそれは重要だと思うが、少し外部の視点があ っていいのかなと思っている。どうやってそれを見るのかとなると、結局はアンケートであったり、来館者の観察や、学芸同士での評価等、学芸だけではなく美術館全体での視点が入ってもいいのかなと思う。
- 委員
- それで、事務局としては、今言われたことをどのようにつなげることを具体的に想定しているのかを聞きたい。
- 事務局
- 評価項目の2だけではなく、アンケートと言うと、広報にもかかわってくるが、館内で話し合い、こういうアンケ ートにしたらどうかとか、こういう風に活かせるのでないかと話し合ったうえで、アンケート用紙を作ろうという事で検討中である。それを活かしてみようと考えている。アンケートは役に立たないのではないかという話もあったが、それも含めて検討してみたい。
- 会長
- 美術館の考案で、新しいアンケートの質問事項を考えると。
- 事務局
- そうです。あと、アンケートの場所。例えば空港とか駅とか館外等いろいろなところを想定しながら進めていきたいと考えている。
- 会長
- このアンケート項目を作るという事を専門にしている人たちがいて、その人達の意見を聞いてみると良いのではないか。つまり、美術館で働いている事務や 学芸員が考えるアンケートはどうしても偏る。そういう視点と違う視点があるから、そういう業者を調査して話を聞いてみると良いと思う。また、その結果分析も、その人達に相談してみるもの有効な方法かと思う。
- 事務局
- 参考にさせていただく。また、アンケート結果を丁寧に見て、分析する事を考えたい。直接聞き取りするなど、やり方はいろいろあると思うが、一般的なア ンケートと言うより、深く突っ込んだアンケートを実施していきたいと考えている。
- 会長
- 運営改善の提言の中に、来館者の満足度への考慮は、わかりやすい企画立案につながるのではとあるが、これには微妙な問題があって、美術館の学芸員が考
える展覧会の企画と、一般の来館者が思う展覧会のすり合わせは非常に難しい。
安易に一般の要望に乗っかると、美術館活動が崩れていくことがままある。その辺も注意したほうが良い。 - 事務局
- 補足だが、委員から満足度の話、評価項目2の中でやるが、この5カ年計画を作る以前の5ヶ年計画では、展覧会の評価に関しては、企画内容がどうだったかという評価と、入館者数がどうだったのか、それから満足度がどうだったのか全部ひっくるめて展覧会がどうだったのかという総合評価で書いていた。
そのため、内容がいくら良くても、入館者数が少なければC評価になるし、学芸員が全くかかわっていない企画でも、何万人も入ればA評価になるという事態が起こったので、それを分けようと。企画そのものの評価を評価項目2に入れて、美術館全体の来館者の満足度に関しては評価項目4に分けたという経緯がある。 - 会長
- 評価項目3交流について、新たなボランティア制度や、ミュージアム・ツアー、それに対するアンケートなどについて意見はないか。
- 委員
- ボランティア制度が新しくスタートし、42名が研修を受け、3班に分かれて新たな体制で活動を行った。ただ、今後ボランティアが自主的に活動していく ことをサポートしたいという事を、今後の課題解決にあげているが、今具体的にこの3グループがどんなふうに動き始めて、自主的にやっているのか伺いたい。
- 事務局
- ボランティアの活動については、昨年度募集をかけて、9月から研修を始め、研修期間を終えて、活動を開始したところである。よくある研修だと、解説ボランティアであれば、解説する作品に関して勉強し研鑽を積んでいく。そういう形のボランティアが多いが、当館が目指しているのは、ボランティア自身の自主性を尊重し、研修期間では美術館の歴史やボランティア制度に対する趣旨等をしっかり話した。3班に分かれた後、例えば鑑賞班だと、鑑賞する作品の内容を自ら選んで勉強するところから始めており、中身についても、学芸員から「この作品はこう説明してください。」という言い方はしないようにしているため、なかなかデビューが揃わない。目下勉強中という状況である。一方で、資料整理班だと、なかなか一般の方には見えない部分だが、さっそく新聞の切り抜き等を始めている。プロジェクト班に関しても、現在メンバーが企画を立案して、それを実現するためにどういうことができるかという事を検討している。一般の方に成果が見えるのはもう少しかかるかもしれない。
- 委員
- ちなみに、どういう年代、男女比とか、42名の傾向はあるのか。高齢者が多いとか。
- 事務局
- 男性が8名、女性が34名。最高齢81歳から22歳まで。平均年齢が59歳である。
- 委員
- かなり多様だ。その方々の生涯学習にもなっていると思う。
- 委員
- 課題解決のためにというところで「ミュージアム・ツアーのガイドについてフォローアップ研修を実施する。」とあるが、今ミュージアム・ツアーのガイドはどのような方がしていて、研修を実施する側はどういう方を想定しているのか。
- 事務局
- ガイドについては、委託している派遣会社から派遣されている職員である。フォローアップ研修は現在もやっているが、実際にやってみて、対応がおかしい
方については、残ってもらってフォローアップ研修を行っている。
別日を設けてフォローアップ研修をすることも考えており、それは7月以降の時期になる。 - 委員
- ガイドについては、外部に委託していて、フォローアップは学芸員、美術館側がやっているという事か。
- 事務局
- 学芸員と事務の担当が4名おり、担当が行う。
- 委員
- ミュージアム・ツアーについて、101校で「満足」「やや満足」との回答と書いてあるが、当初心配されていた否定的な意見が聞かれなかったという事が今 回の評価になると思う。実際に子供たちがどんな様子でどんな風に鑑賞しているか、状況を教えていただきたい。
- 事務局
- ほとんどの生徒が初めてだが、楽しく積極的に話している。こちらのほうから説明するだけではないので、子供たちから話してもらったことについて、意見
を交換する形にしている。それからミュージアム・ツアーが終わった後、家族で来られる方も多い。
1校、満足ではないとの回答があったが、それは時間的な問題で、改善されているが、午後の始まる時間のことで、不満足な結果が見られた。 - 委員
- 一グループ何人か?
- 事務局
- 8名だ。
- 委員
- 割と質問も受けやすい人数か。
- 事務局
- そうです。
- 委員
- ぜひとも北九州の子供が全員この美術館に来たことがあるというふうにしてもらいたい。
- 委員
- マイナス的な意見を聞かれたと書いたが、計画にかかわった際、一番心配したのは、全員出さないといけないのかという事。学校行事がたくさんある中で、 先生たちが外に出すのは時間がかかるし、先生たちにも美術館に行く敷居が高い方がいるので、反対する意見があるかなと思って心配した面があった。ところが、実際に開くと、先生方からそういう意見は聞かれず、逆に3年生で良かったという意見をたくさん聞いた。当初、5・6年生が良いのではないかという意見もあったが、見せるなら2~4年生はどうかという事で意見を言ったが、実際先生方は3年生で良かったと、とても好評である。子供たちが、すっと入れるというのか。ガイドも押しつけがましくなく、子供たちの意見を受け止めてくれるので、子供たちも楽しかったとか、美術館きれいでびっくりしたからもう1回行ってみたいとか、プラスの意見のほうが多かった。
- 委員
- 教育普及事業はすべて前年度から比べるとたくさん増えていて、人数も回数も増えている。よくこんなに急にたくさん増やせて、労力的にどうやって回した のかと思った。
- 委員
- ギャラリートークはお金がかからないのか?
- 事務局
- かからない。学芸員が実施する。
- 委員
- ミュージアム・ツアーに関してだが、滞在時間はどれくらいなのか。個々の対応になると思うが、学校側の美術館に対するニーズは?どういったことを学習 させたいとか、美術館の思いとあうところとあわないところ等、教えてほしい。
- 事務局
- 滞在時間だが、コースが複数あり、40分間になっている。10分間全体説明があり、40分間のコース、15分の振り返りがあり、帰ることになる。
学校とのすり合わせの中では、前年度あったのは時間的なこと。お弁当の時間があわないという要望があった。学校説明会は事前説明があるので不要という事で、学校の教員の負担軽減という事で中止した。 - 会長
- 課題解決のために取り組むことの中で、美術館側から先生方にアプローチする方法を検討すると書かれているが、このことについて、助言はあるか。
- 委員
- 先生によってかなり美術館に対する興味・関心だったり、自分はちょっと絵がわからないからみたいな、後ろ向きな人もいるので、ミュージアム・ツアーの 中で、子供たちがどんな学びをしたかとか、こんな風に楽しかったよという事を知る機会が必要かと思う。先ほども言われたが、子供たちはとてもミュージアム・ツアーから楽しく帰ってきて、自分が見つけた素敵な作品を一生懸命学校で描いている。美術館に来れば、グループに分かれてガイドが説明するため、担任も安心して行くことができる。本校の担任は自分から、どのような作品を見せたいか事前に打ち合わせの電話や来館により対応した。
- 会長
- 参加するとその面白さがわかる。美術館としては、先生方にアプローチする方法を検討するというのは、先生が積極的な学校は美術館での活動も積極的だし、消極的な学校は活動が消極的なることが多いという意見に従って、課題解決のための取組みの中で先生にアプローチする方法を検討するという事か。
- 事務局
- そうです。先生によって変わるという意識がなかったので、そういうことを考えないといけないのか、先生対策をしないといけないのかと初めて気が付いた。
- 会長
- どうすれば、先生の関心を引き出すかという事を委員に相談してみては。
- 事務局
- 具体化する段階では委員の方にも助言していただきたい。
- 委員
- ミュージアム・ツアーが始まったことで、先生の垣根は低くなったと思う。以前は、鑑賞教室という事で希望する関心の高い先生が申し込みをしていたので、興味がないと申し込まない。今回は全市一斉行事なので、多くの先生が経験すれば、かなりすそ野は広がる。
- 会長
- 美術館の事業というだけでなく、全市的な事業として体制ができてくる。現場の先生は 、美術館もあれば博物館もあればと大変だろうが。
- 委員
- 他の学年は外に出ていく機会が多いので、3年生が出ていきやすい。
- 会長
- 評価項目4広報について意見はないか。
- 委員
- SNSを使った広報活動をしていると思うが、ツイッターも企画展に対して開設しているという事で、判断の基準が入館者数になっているが、たぶんテレビでも広報したものがあったと思うし、今スマホの時代なので、みな情報収集はスマホでする人が多い中で、数値的なところは入館者数ではなく、アクセス数やフォロワー数で判断し、見てもらわなければ来てもらえないので、そこを伸ばすために、何をしたらよいかという事に視点を変えたほうが良いのではないか。
SEO対策はしているのか。検索にひっかるような対策。 - 事務局
- それはやっていない。フォロワー数、アクセス数への対策はあるが、実際には発信するばかり。
- 委員
- 第一段階はたぶんそうであろう。これから今後のこと考えていくと、しっかりしたSEO対策を。ホームページを開設したりもしていったほうが良いが、皆さん検索かけるのに、美術館に行きたいと思ったら、たぶん北九州市立美術館と入れるとは思うので、ダイレクトには来ると思うが、そうではなくて、「コマーシャルで見た何の展覧会だったっけ。」という探し方をする人が中にはいると思うので、その対策はとったほうが良い。
- 委員
- 友の会にもかかわることだが、バスツアーについてはカフェとの連携も含めて検討すると書いてあるが、これはバスツアー先との連携ということか?
- 事務局
- これは、カフェミュゼを利用したバスツアーを提案するという事。例えば山口からきて、食事はカフェミュゼでして、展覧会も見てもらうというツアーを提案しているが、なかなかバス会社が了承してくれない。
- 委員
- 他美術館のカフェの手伝いをしたことがあるが、美術館のほうはナチュラルなもの、外を見ながら食事するというコンセプトで作った。何か一つこだわりのものとか、ここで食事してみたいというこだわりが伝わるようなものを作っていけば、そちらに滞在してそれと一緒にという事もある。
- 会長
- 英語や中国語で発信するということが書いてあるが、外国語対応、国立美術館では国の施策で去年から英語、中国語、韓国語4か国語対応をしろという事が急にきて、お金がないのに始めて、国立美術館5館で3億円ほどつぎ込んだ。
この対応をやると、作品のキャプションあるいは解説、年表、挨拶など全部4か国語にした。鑑賞の妨げになるくらい面積を取るので、キャプションはつけなかった。そういう事をするためにはお金がかかる。ここで言いたいのは、お金をちゃんと用意しなさいという事ではなく、美術に関して4か国語でどういう表現、日本人の作家の読み方を統一する、そういう辞書機能をもったセンターを国立で作れと言っているが、なかなか実現しない。文化財機構で出した博物館系は辞書機能を持った人が集まった部門ができます。それを利用しながら将来4か国語、特に北九州は韓国に近いから、そういうものがあるという事を認識して 、戦略的なことを問い合わせながら作っていくと、間違いがない。全国的に統一されるのが良いかどうかはわからないが、統一された翻訳ができるという可能性が高まっている。ちなみに私の美術館が4か国語をやるときは、韓国籍の人が非常勤学芸員にいるので、その人に見てもらった。中国語は大阪に住んでいる中国人に外注をした。もしやるならば、そういう美術館に問い合わせするとやりやすい。
もうひとつ、運営改善の提言の中で、アルコール類の充実とあるが、美術館はアルコール類を遠ざけるという動きがあるので、そことのバランスを良く考えたほうが良い。 - 事務局
- もちろん、カフェだけです。
- 委員
- 先日福岡市美術館がリニューアルオープンし、そこのレストランがビアガーデンをやっているが、割とにぎわっていると聞いた。九州や福岡県内は美術館に来る人が固定化して、その人たちが回っている感じがする。こちらで好調な美術展があって、別の美術館で美術展が始まると、いきなりそこが減って、こちらに移ってしまうという感じの傾向があり、美術館に来てくれる人を増やさないといけないのでは。それには、小学校の3年生に来てもらうことも基礎を増やすことになるし、飲食が、美術館はこんなところなんだ、食事も楽しめて、こんなに文化と触れ合えるんだ、というきっかけを作るような機会になればと思った。
- 会長
- 私もこの眺めを見れば、最高のビアガーデンになると思う。
- 会長
- 評価項目5環境について意見はないか。
- 会長
- 照明は全部LED化しているか。
- 事務局
- 本館は一般の人が接する部分は全部LED化している。
- 会長
- 100万円単位で光熱水費が下がる。
- 事務局
- 分館はLEDではない。今後照明を切り替える時期に入るので、検討する。
- 会長
- 初期投資の予算をつけてもらわないと。
- 会長
- 全体について、意見はないか?
- 委員
- 資料のことだが、歳入と支出だが、指標がないと読み取れないところがある。
例えば、昨年比とか平均値があると助かる。 - 事務局
- 平成29年度は10億円くらいの決算になっている。平成27年度からは大規模改修があったので、決算に波がある。今からは平準化していくと思う。
- 会長
- 事務局案の運営評価について、協議会として承認してよろしいか。
(異議なし)
北九州市立美術館運営評価については、協議会として事務局案を承認する。